Dec.2025
Iconic Models
特集
ブランドを代表する人気の高い定番フレーム
Dec.2025
TAYLOR WITH RESPECTが提案する4つのアイコニックモデルは、単なる眼鏡の枠を超え、“仕立て”という思想をかたちにした象徴的な存在です。
sole ― ブランド哲学を体現するモデル
diadema ― 気品を纏う眼鏡
phi ―古典的デザインの新解釈
void ― 多彩さと心地よさを求めて
それぞれが異なる表情を持ちながらも、共通して宿すのは、流行に左右されない普遍性、道具としての信頼性、そして装いを完成させる美しさ。
TAYLOR WITH RESPECTの哲学を体現する、揺るぎないスタンダードです。
Iconic Model 01
2017年に発表された「sole(ソル)」は、テイラーウィズリスペクトのファーストコレクションとして誕生しました。ブランドの哲学である“仕立て”をプロダクトへ端正に映し出す最初のモデルで、今もコレクションの象徴として支持されています。ウェリントンスタイルの正統を守りつつ、無駄を削ぎ落としたラインと美しい佇まいは、流行に左右されず着用できる汎用性を備えています。
ソルの存在感を支えるのは、素材選定と製造技術です。フロントパーツには厚みのある一枚のチタン材を使用し、幾重ものプレスと精密な切削を重ねて形状を作り上げます。さらに破損の原因になりやすい「ロー付け」を行わない構造により、日常使用でも高い強度を維持しています。
2025年春、「sole2」へとアップデートされました。製造工程を根本から見直し、より深く“仕立て”の意匠を体現するためにフロントデザインを一新。製造ラインには新工程が加わり、道具としての完成度をさらに引き上げています。
レンズの入る前面のフロントというパーツには、縦方向のカーブを新たに追加し、まるで「お椀」のような立体感をもたせました。サイドから見ると、「く」の字のような形状をしており、従来の横カーブだけではなく、三次元でレンズを捉える構造に進化しました。これにより、レンズとフレームのカーブが綺麗に調和し、光学性能を最大限に引き出すと同時に、美観としての一体感もより一層高めています。
2023AWコレクションから順次導入されてきた新しいSラインテンプルを、ソルとして初めて採用。S字のカーブを描く部分を、一から金型を起こして再設計し、メリハリのある曲線美を実現しています。さらに剛性が増したことにより、お顔に優しく寄り添う安定感と、まるで「ハグのような掛け心地」と評される包容力を備え、テイラーウィズリスペクトが掲げる“仕立て”の意匠を体現した新パーツとなりました。
ブランド立ち上げ時に最初にデザインしたモデル。
フロントに入れた縦カーブは従来よりも綺麗にレンズを収める事が出来ます。絶えず改良する姿勢を色濃く反映したモデルです。
Iconic Model 02
1940年代のフランスで人気を博した“クラウンパント”を現代的に再解釈し、顔馴染みの良い造形へと仕立てました。丸みを帯びた柔らかさと、上部をすぱっと切り落としたようなラインが、表情を穏やかに整えつつも凛とした印象をもたらします。レンズサイズをやや大きめに設計することで、ゆったりとした雰囲気に。同時に上辺の角が全体を程よく引き締め、洗練さと親しみを兼ね備えた1本に仕上げています。
ディアデマは、クラシカルなフォルムと洗練されたカラーが調和した、テイラーウィズリスペクトを象徴する1本です。眼鏡としての機能性にとどまらず、日々の装いにそっと寄り添い、かける人の魅力を引き立てます。職人たちの確かな技術から生まれるこのフレームは、シンプルでありながら奥行きのある存在感を放つのです。
ディアデマの豊富なカラーバリエーションは、福井県鯖江市に拠点を置く「美装ジャパン」の卓越した染色技術によって生まれます。ファーストコレクションから信頼を寄せるこの工場のグラデーションは、熟練した職人による完全な手仕事でしか表現できません。赤・青・黄の染色剤を熱した樽に、フレームをゆっくり沈めることで色付けをします。その日の気温や湿度、わずかな天候の変化さえも仕上がりに影響するため、職人は長年の経験を頼りに漬ける時間を微妙に調節します。決して同じ条件が揃う日はなく、作業を行うと決めた日は丸一日をこの工程だけに捧げます。
グラデーションは大量生産に向かない性質を持っています。煮沸した染色液は常に対流を起こし、樽の中でも場所によって状態が異なるため、色が均一に染まるのは中央付近だけです。一度の工程で染め上げられるのはわずか3本。効率重視の量産体制では到底たどり着けない、極限の集中と緊張の中、1本ずつ丁寧に命を吹き込みます。職人はこう語ります。「通常の眼鏡が1日に100本つくれるとしたら、グラデーションの眼鏡は10本つくれるかどうか。」この言葉が示す真意は、単なる難易度の高さではなく、色のプロフェッショナルとしてのプライドです。
フランスで人気があったクラウンパントのデザイン。レンズ負担を抑える特殊な金属プレス加工は、目にみえない部分にも手を抜かないブランド哲学の表れ。ディアデマとは、王冠の元になった鉢巻(はちまき)を意味しています。
Iconic Model 03
黄金比の比率記号「φ(Phi)」に由来するphi(ファイ)は、故意に施したフロントのスリットへ上下の比率に黄金比を取り入れ、古くから親しまれるラウンドデザインと普遍的な美の比率を組み合わせることで、新しい表現に挑戦しています。丸眼鏡というと個性的すぎたり、どこか生真面目な印象になり敬遠されがちですが、ファイは自然と顔になじむよう設計しています。「眼鏡は一生これでいい」と語られるほどの完成度を持ち、デザイナー自身も私物として愛用していることがその信頼性を物語ります。
形や比率、サイズ、色彩のすべてにこだわり、黄金比Φに基づくフロントスリットや絶妙なレンズサイズで理想的なバランスを描き出しています。古典的なラウンドと黄金比の融合がもたらす形と色彩は、従来のラウンドに抱かれがちな先入観を払拭し、日常にそっと寄り添う新しい定番として、テイラーウィズリスペクトのコレクションに存在しています。
ファイの魅力をさらに際立たせるのが、部分的な染色によって複数のカラーを重ねる「MSI」技法です。熟練の職人が1本1本、竹櫛で手塗りをすることで、薄く透明感のあるカラーリングを実現。ラウンドの縁をなぞるように描かれた線が、フロント前面に美しい表情を添えます。ファイでMSIを採用しているのは以下の3色です。
col.01 Black Wine & Gold
col.06 Black Navy & Silver
col.07 Black Green & Gold
通常の染色よりも倍の手間と時間をかけ、上下2色を駆使して生み出されるこの配色は、下地の色を含めると計3色で織りなす美しい佇まい。さらに、全ての配色は黄金比Φに沿って施され、プロダクトとしての完成度は極めて高いものとなっています。
レンズサイズは目元に余分な隙間が生まれない44mmに設定し、正円ではなくわずかに歪みを持たせています。これにより、ラウンド特有の難しさを感じさせず、絶妙なバランスを描き出します。小さすぎると鋭い印象に、大きすぎるとコミカルになりやすいラウンドですが、ファイはその微妙なニュアンスを捉えています。
デザインのアクセントとして、分割したスリット上下の比率に黄金比を取り入れました。
古くから親しまれるラウンドデザインと、美しい比率の代表黄金比という、普遍的な二つの要素を組み合わせ、新しい表現に挑戦しています。
Iconic Model 04
多くの方に似合いやすいとされる、レンズ幅46mmのゴールデンサイズに、程よい個性としてクラウンパントデザインを組み合わせました。特徴的なのは、アセテート特有の美しい発色と、経年劣化の課題を克服するオリジナルパーツ『T-SPINE(ティースパイン)』の組み合わせです。T-SPINEはフロント内側に弧を描くように組み込まれ、強度と形状の維持を可能にしつつ、前面から透けて見えるその佇まいは美観面でも魅力的に仕上がっています。
硬く分厚いチタン材を何度もプレス加工した後、ドリルで精密に削り出されるこのT-SPINEは、テイラーウィズリスペクトが開発した独自の補強パーツです。一般的なプラスチックと金属を圧着する『カシメ』技法とは異なり、ネジで留める構造を採っています。これにより、緩みが生じても締め直せば再使用可能で、万が一破損した際もパーツの交換だけで容易に修理が完了します。
T-SPINEは、フロントの経年変化を抑えるだけではありません。透明感のあるアセテートとの相性も非常に良く、補強の役割を超えて、眼鏡全体の美観を高める重要なパーツとして機能しています。眼鏡の強度と形状の維持を可能にしつつ、前面から弧を描くように透過して見える姿はデザインとしても美しい仕上がりです。
採用された「ダブルSラインテンプル」は、流れるように描かれた2本のカーブが頭部をやさしく包み込み、安定したフィット感を生み出します。掛け外しの動作もスムーズに行え、長時間の着用でも側頭部へストレスを感じにくい設計です。滑らかなアセテートでカバーされ、金属がお身体に合わない方でも安心して着用ができ、日常に自然と溶け込む快適さを生み出しています。
F・ハーバートの『デューン砂の惑星』に続くSF小説から命名したフレームです。
T-スパインを採用したフレームデザインは、アセテートとメタルが重なることにより、より上質にみえる表現へと仕立てました。